南米選手権出場辞退と再検討で忘れてはいけないこと

2011年の日本代表にとって、大きなイベントはアジアカップと招待されたコパ・アメリカだとされていた。アジアカップは日本代表の劇的な試合内容と優勝という結果によって、日本中を沸かせて大成功をおさめた。アジアチャンピオンの肩書きをもって、コパ・アメリカに参加する。そんな未来を思い描いてほくそ笑んだファンも多かっただろう。

しかし、東日本大震災の影響により、コパ・アメリカの出場が危ぶまれている。震災後の3月中のJリーグ開催が延期され、その分の試合を7月などの夏場に行うように日程を組み直すということで、結果的に日本代表とJリーグの日程が重なってしまうことになる。Jリーグ開催中に日本代表選手たちがコパ・アメリカに派遣されてしまうとクラブからすれば痛手だ。鹿島や名古屋などがおいそれと首を縦に振ることはできないというのは容易に想像できる。

では、コパ・アメリカには海外組中心で臨めばいいのではないか、という意見もある。多くの海外組を抱えるようになった日本代表にとって、代表メンバーのほとんどを海外組にしてしまえばJリーグに影響はないだろうという意見だ。

だが忘れてはいけないことがある。コパ・アメリカは招待試合という位置づけであり、選手を招集する強制力がないのだ。アジアカップでさえ出し渋ったクラブもあり、香川にいたってはアジアカップで負傷までしている。強制力のないなか、欧州クラブが選手を易々と代表に貸し出してくれるだろうか。

欧州サッカーシーンはオフだから、貸してくれるだろうという見方もあるだろうが、2012年に欧州選手権が控えており、各国リーグの来期開幕は例年より早くなっているということも押さえておかねばなるまい。